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慰謝料請求・離婚と法律

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浮気(不貞行為)証拠について

不貞行為とは?

法律用語(民法)で「配偶者のある者が、その自由な意思にもとづいて、配偶者以外の異性と性的行為を行うこと」です。従って、食事をしたり、手を繋いだりするだけで、性的行為がなければ不貞行為にはあたりません。
尚、一般的に不貞行為は浮気と表現されることがありますが、心をひかれるだけで性的行為がない場合でも浮気に該当してしまい「不貞行為」より広い意味です。
※本サイトでは、不貞行為を浮気と表現していることもありますが、前後の文脈等から判断してください。

どんなもの不貞行為の証拠になるの?

性的関係があった事を証明できるものが不貞行為の証拠です。
不貞行為の証拠の王様は、何と言ってもラブホテルに滞在した証拠(出入りの写真)でしょう。ラブホテルは社会通念上、性的行為をする場所だということは誰しもが知っています。従って、ラブホテルに滞在したことを証明できれば、「性的行為はしていない」という言い逃れは、困難でしょう。その他でも、相手方異性のマンション、アパート、シティホテル、マンション、車中等に滞在した証拠でも条件が揃えば良い証拠になり得ます。
また、浮気夫(妻)のスマートフォン等に保存されていた、そういった行為の動画や画像、メールやSNSで性的行為があったことが分かるやりとりなども有力な証拠になり得ます。
ただし、素人判断は危険ですので、証拠として十分なのか否かは、必ず専門家に判断してもらってください。

ラブホテル以外の場合は注意が必要

ラブホテル以外に滞在した証拠で戦う場合は、少々注意が必要です。
何故なら、ラブホテル以外の証拠しかなかった場合、「性的行為はしていない。」という言い逃れをしてくる可能性が高いからです。その言い訳の定番は「相談にのっていただけ。」「相談していただけ。」です。だから「性的行為はしていない。」と言うのです。

これを覆す代表例をいくつか挙げておきます。

まずは、宿泊していた証拠です。一緒に宿泊している証拠を押さえたら、さすがに何もなかったという言い訳は通りません。宿泊していない場合でも2人の親密さが伺える証拠を押さえれば大丈夫です。
例えば、キス、手をつなぐ、腕を組むなどの行為です。浮気調査でよくある定番としては、別れ際のキスです。
また、LINEやメールやりとりで、2人の親密さが伺える内容のものを押さえておいてもOKです。
これらがあれば、たとえ昼間の1、2時間の滞在でも、「相談だけ」は通用しません。

不貞行為の証拠何回撮ればいいの?

弊社では、不貞行為の証拠を複数回撮る(継続性を証明する)ことをおすすめしますが、主な理由は以下の3つです。

  • そもそも言い逃れを許さないために撮るのですから、1回よりも2回、2回よりも3回のほうが良いと言えます。ただ、5回も10回も、は必要ありません。できれば3回、最低2回といったイメージです。
  • 不貞行為を理由に裁判で離婚を認めてもらうには継続して行われていたことを証明する必要があるからです。裁判では、1回だけの不貞行為で離婚が認められた裁判例はありません。また、裁判では、過去の同じような事件の裁判例に従って同じような判決を出しますから、裁判で離婚を認めてもらうためには、1回だけではなく「継続的に不貞行為が行われていた事」を証明する必要があるのです。
  • 1回でも不貞行為は不貞行為ですが、裁判所が1回しか認定してくれないと、慰謝料が極端に安い(下手したら10万円、20万円なんてこともあり得る)からです。従って、慰謝料請求をする場合は、複数回の証拠を撮る(継続性の証明をする)ことをお勧めします。

尚、証拠は配偶者や相手の異性に何かアクションを起こしてから撮るのは困難ですので、最初に撮っておく必要があります。

不貞行為の証拠が1回だけでも良い場合はあります。

不貞行為と慰謝料について

不貞行為の慰謝料って?

民法には、以下の様な規定があります。

  • 民法第709条(不法行為による損害賠償)
    故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
  • 民法第710条(財産以外の損害の賠償)
    他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。

損害賠償は、財産的損害、精神的損害の大きく2つに分かれます。
慰謝料とは、精神的損害に対する損害賠償のことです。
不貞行為によって被害者が受けた、苦痛・悲しみなど精神的に受けた損害に対して、上記法律に基づいて慰謝料を請求することができます。
ちなみに、浮気によって婚約解消に至った際に、被害者が加害者に対して求める、結婚式場のキャンセル料や不要になった結婚指輪の購入費用などは、財産的損害に対する損害賠償です。

不貞行為の慰謝料誰に請求できるのか?

不貞行為を行った配偶者とその不倫相手に請求できます。
ただし、裁判上では、ざっくり言うと慰謝料は1つという考え方ですので注意が必要です。

例えば、裁判で慰謝料が300万円と判断される事案があったとすると、300万円というサイズのコップに、浮気夫(妻)とその不倫相手が、どっちがどんな割合で注いでも良いけど、コップがいっぱいになったら終わりといったイメージです。
浮気夫(妻)と離婚してその際に慰謝料として300万円を支払ってもらったとします。
その後、相手女性(男性)に慰謝料の支払いを求めて裁判をしても、裁判所が、もう十分支払われているとして、慰謝料の支払いを認めないことがあるということです。

※ただし、示談や離婚協議で支払ってもらった場合の話は別です。
300万円と200万円で合計500万円支払ってもらったとしても、返せということにはなりません。

不貞行為の慰謝料相場はいくら?

実は、不貞行為の慰謝料は、法律によって明確に「いくら」と定められているわけではありません。
裁判例でも数10万円位から500万円位とかなり幅があり、裁判所が慰謝料の算定を行う際には、夫婦が離婚に至ったか否か、妊娠の有無、不倫の期間や程度など様々な事情が考慮されます。
多くのケースで、離婚に至ったか否かは、慰謝料の金額が大きく影響している様です。
私の経験上(私の相談者様や依頼者様のケース)では、離婚に至ってしまった場合、裁判では200万円以上300万円くらいまで、離婚に至らなかった場合は、200万円未満で100万円くらいから150万円までが多かったです。

慰謝料請求の時効について

民法では、不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないとき、不法行為の時から20年間行使しないときは、時効によって消滅する。
言い換えると、不貞行為があったこと及び相手方を知った時から3年間慰謝料請求をしないとき、不貞行為があった時から20年間慰謝料請求をしないときは、時効によって慰謝料請求ができなくなるということです。ほとんどのケースで実質は3年ということです。
しかし、3年もの月日が流れると、加害者が引っ越して住所が分からなくなったり、勤務も変わっていたり、色んな状況が変わることが多々あります。ですから、時効までは3年の猶予がありますが、慰謝料請求は特別な事情がない限りなるべく早めに実行することをお勧めします。

ダブル不倫の慰謝料請求

既婚者同士の不倫を、ダブル不倫と言います。
例えば、A男とB子が夫婦、C男とⅮ子が夫婦で、A男とⅮ子が不倫をしている様なケースです。
この場合、慰謝料請求において良い面と注意すべき点があります。

まずは、注意すべき点です。

B子がⅮ子に慰謝料を請求したこと(不貞行為があったこと)がC男に知れると、C男がA男に対して慰謝料を請求してくる可能性があります。B子がA男と離婚するのであればどうでも良いかも知れませんが、婚姻を継続する場合は厄介です。
ですから、離婚しない場合は、相手方の配偶者に知られない様、秘密裏に慰謝料請求をする必要があります。

例えば、夫婦のお財布が一緒だと、B子がⅮ子から慰謝料を獲得したのに、同じ様な金額をA男がC男に支払うことになあったB子としては慰謝料を獲得した意味が無くなってしまうかもしれません。更に、C男とⅮ子夫婦が離婚に至ったとすると、B子がⅮ子から獲得する慰謝料よりも、A男がC男に支払う慰謝料のほうがずっと高額になってしまう可能性が高いと言えます。

しかし、良い面もあります。

B子から慰謝料を請求されたⅮ子は、自身の配偶者であるC男に不貞の事実を知られない様に、秘密裏に解決しようと考えます。つまり、裁判等大事になることを恐れ、なるべく早期解決を図ろうとするのです。
ですから、Ⅾ子に資力があれば、相場より高めの慰謝料を請求しても、示談で合意に至る可能性が高いと言えます。

慰謝料請求の主な方法

内容証明を送る

この方法は、不貞行為相手方に慰謝料を請求するうえで、最も一般的な方法のひとつでよく知られています。そして、費用や時間をあまりかけずに行う事ができます。また、受け取った相手に心理的プッレシャーをあたえることができます。しかし、プレッシャーをあたえるのが目的でなく、あなたが本当に解決したいと思うなら、私は内容証明を送ることはおすすめしません。内容証明を受け取った相手方は、どうすると思いますか?
ほとんどが、弁護士に相談します。
そして、あなたのところに弁護士から「本件について私が代理人になりました。以降は、直接連絡をせず、私を通して下さい。」という旨の通知が届きます。どうでしょう?あなたは、相手の弁護士と自分でやり合いますか?恐らく多くの人が、自分も弁護士に依頼することになるでしょう。
この様に、嫌がらせにはなっても、内容証明を送ることによって解決するとは思えないからです。そして、結局、弁護士に依頼することになり、費用と時間を費やすことになり、また自分の弁護士と相手の弁護士は綱引きの状態になって、慰謝料もそこそこの金額で収まってしまいます。
また、ダブル不倫(配偶者の不倫相手も既婚者)だった場合、内容証明を送ることにより相手方の配偶者に不倫の事実を知られて、相手の配偶者からこちらの配偶者に慰謝料を請求される危険性もあります

直接出向いて話し合う

高額な慰謝料の獲得と示談での解決を目指すなら、相手方のところに直接出向いて話し合うことをお勧めします。そして、その際に重要なのは、待ち伏せなどによって、「不意打でいきなり話し合いを開催させること」と「その場で和解合意書(示談書)などの書面」を締結することです。
もしも、不意打ちではなく電話や手紙で呼び出すといったことをすると、相手方に時間を与えてしまうことになり、その間に弁護士に相談してしまいます。
また、せっかく条件がまとまりそうでも、その場で書面を締結せず、後日ということになっても同じことがおこります。
これでは、内容証明を送るのと変わらなくなってしまします。ですから、相手方の職場や自宅で待ち伏せをして突然話し合いをするのです。あなたに突然話しかけられた相手方は「このまま自宅(職場)に来られたらどうしよう。」という心理が働き、成功率も高くなるのです。

※弊社には慰謝料請求・離婚専門の法務部門(国家資格)があり慰謝料請求や離婚の業務もご依頼いただけます。
尚、慰謝料請求や離婚の業務を行う無資格の探偵社があるそうです。これは違法(逮捕、刑事事件レベルの違法性)ですので、注意してください。

慰謝料請求について詳しくはこちら(弊社法務部門のホームページ)

民事調停

裁判所に慰謝料請求の調停を申し立てる方法があります。手続きも比較的簡単ですので、自分で申し立てを行うことも可能です。費用も印紙代、切手代など、数千円程度ですが、時間はかなりかかります

調停を申し立てると、まずは裁判所から両者に通知が届きます。調停は裁判所で行われ、調停委員が両者の間に入り話し合いをします。しかし、あくまで当事者間の話し合いで自主的、任意的解決をはかろうとするものですので調停には裁判のような強制力(判決)はありません。従って、相手方が慰謝料の支払いを断固拒否したら、お開き(不調)になってしまいます。また、裁判所の通知を受け取った相手方の多くは、恐らく弁護士に相談するでしょう。ですから、嫌がらせには良いかも知れませんが、解決するためには少し疑問が残る制度かも知れません。

訴訟(裁判)をする

他の方法で解決に至らなかった際には、訴訟(裁判)を提起するしかありません。もちろん、いきなり訴訟(裁判)を提起することもできます。訴訟(裁判)が、他の方法と決定的に違う最大のメリットは、唯一、強制力(判決)があるということです。従って、相手方が「やっていない。」「慰謝料が支払えない。」などと慰謝料の支払いを拒否しても、判決によって裁判所が決めてくれます
ただし、訴訟(裁判)となると、手続きも複雑です。また、原告側(訴える側)が、不貞行為の事実を証明しなければなりません。ですから、弁護士に依頼することになると思います。なので、ある程度の費用が必要になり、また時間もかかってしまうという点がデメリットです。

離婚について

離婚の種類と方法

離婚する方法には、協議離婚、調停離婚、審判離婚、裁判離婚の4種類があります。
現在、約90%が協議離婚、残りの10%のうち約9%が調停離婚、裁判離婚は1%と程度です。また、審判離婚はとても例が少ない方法です。では、この4つの方法についてそれぞれ詳しく見てみましょう。

協議離婚

夫婦間の離婚協議(離婚についての話し合い)によって成立する離婚です。
この場合には、夫婦間で離婚に合意すれば足りるので、離婚原因(離婚する理由)に特に制限がある訳でなく、何でもかまいません。
夫婦間で離婚の話合いがまとまり、離婚届を役所に提出すれば離婚が成立します。時間や費用が一番かからないもっとも簡単な離婚の方法と言えます。協議離婚は一番簡単な方法ですが、慰謝料、財産分与、養育費など、離婚時に決めておいたほうがよいことを決めないまま離婚をしてしまうと離婚後のトラブルを招きやすくなりますから注意が必要です。
従って、離婚協議においてしっかりと条件を決めて、離婚協議書などの書面を交わすなどして、互いに十分に納得したうえで離婚届を提出することが望ましいと言えます。
尚、協議離婚は、夫婦の一方に不貞行為など法律上の離婚原因を形成する行為があり、他方が離婚を求めた場合であってもが、相手方が離婚に応じてくれなければ、離婚はできません。

調停離婚

夫婦間の話し合いで、離婚に応じてもらえなかった場合や離婚の条件条件(慰謝料、親権者、養育費、財産分与等)に折り合いがつかなかった場合に家庭裁判所に離婚調停の申立てを行う方法です。
ちなみに、離婚調停というのは通称で、正式には「夫婦関係調整調停(離婚)」と言います。離婚調停は家庭裁判所で行われます。2名の調停委員が、夫婦の双方から事情を聞き裁判官の指示のもと両者の間に入って、紛争の当事者間(夫婦間)の話し合いで自主的、任意的な解決を図る制度です。ですから、離婚調停には裁判のような強制力はありません。従って、最終的に合意に至らなければ、離婚は成立しません。離婚調停で、離婚と離婚の条件が合意に至った場合、調停手続の中で夫婦が合意した内容が調停調書に記載されます。調停調書は裁判の確定判決と同じ効力を有します。
しかし、離婚調停で相手方が離婚に応じなかった場合、条件がまとまらない場合等は、調停はお開き(不調)となってしまいます。
ちなみに、離婚調停をした後でなければ、裁判で離婚を求めることはできません(調停前置主義)。調停離婚が成立しなかった場合に、初めて、裁判で離婚を求めることができる様になるということです。

審判離婚

審判離婚は、非常に例が少ない方法です。
繰り返し離婚調停が行われたにもかかわらず、離婚が成立しそうもない場合や離婚を成立させた方が、双方のためであると見られる場合であるにもかかわらず、些細な事で対立して、合意が得られる見込みがない場合には、家庭裁判所は調停委員の意見を聴いて、職権で離婚の処分をすることができます。これを調停に代わる審判と言います。
調停に代わる審判では、親権者、監護者の指定や養育費、財産分与、慰謝料等の金額を同時に命ずることができます
審判に対しては、2週間以内に家庭裁判所に対して異議申立てをすることができ、異議申立てがあると、その審判は効力を失います。異議申立がないときには、この審判は裁判の確定判決と同じ効力を有することになります。

裁判離婚

離婚協議、離婚調停、審判でも離婚成立にいたらなかった場合に、離婚をするには、家庭裁判所に離婚の訴えを起こし、裁判所に離婚を認める判決をしてもらわなければなりません。離婚裁判を提起するには、民法に定める以下の「離婚原因」が必要です。

  • 配偶者に不貞な行為があった時
  • 配偶者から悪意で遺棄された時
  • 配偶者の生死が三年以上明らかでない時
  • 配偶者が強度の精神病にかかり回復の見込みがない時
  • その他婚姻を継続しがたい重大な事由のある時

離婚裁判を提起することができるのは配偶者に、上記5つのうち、少なくとも1つ以上の離婚原因がある場合に限られるのです。離婚裁判では、離婚を求めるだけでなく、通常いくつかの請求が同時になされます。財産分与、慰謝料の請求、親権者の指定、養育費の請求などです。
離婚裁判を起こす場合、訴状を作成するなど、色々と法律の専門知識が必要となります
また、裁判では訴えを起こした側(原告)が、相手方に離婚原因があったことを証明する責任(証明責任)があります。
つまり、相手は無かったことを証明する必要は無く、平たく言うと、こちら(原告側)が事実を証明できなければ負けということです。
ですから、裁判で離婚を求める場合は、確たる証拠の準備と弁護士に依頼することは、原則、必須だと思われます

円満調停

実は「夫婦関係調整調停(離婚)」(通称:離婚調停)ではなく、「夫婦関係調整調停(円満)」(通称:円満調停)という制度があるのをご存知でしょうか?離婚調停は比較的良く知られていると思いますが「夫婦関係調整調停(円満)」はあまり知られていません。どちらも調停ですからもちろん家庭裁判所が行っている制度です。
裁判所というと「手続きが面倒」「高額」「弁護士に依頼しないと無理」みたいなイメージがあるかもしれませんが、調停は手続きも比較的簡単ですからご自身でも手続きができますし、費用も数千円程度と安く、利用しやすい制度です。
「夫婦関係調整調停(円満)」は、夫婦が円満でなくなった際に、円満な夫婦関係を回復するための話合いをする場として利用できます。男女各1名ずつの調停委員といわれる中立の人が間に入って、家庭裁判所で行われます。
夫婦が円満な関係でなくなった場合とは具体的には、

「夫が職場の女性と不倫をしていて、注意しても不倫関係を解消してくれないとき。」
「夫が家庭に生活費を入れず、家庭生活が崩壊する恐れがあるとき。」

などです。
調停委員が、夫婦の双方から事情を聞き,夫婦関係が円満でなくなった原因を当事者がどのように努力して夫婦関係が改善していくのか等、解決案を提示してくれたり、解決のために必要な助言をしてくれたりするのです。
また、離婚した方がよいのか否か迷っている場合にも、利用することができる様です。
夫または妻から、相手方の住所地の家庭裁判所、又は、夫婦間の合意で決めた家庭裁判所に申し立てることができます。浮気夫(妻)に注意をしても逆ギレされたり、お互いが感情的になったりして冷静に話し合いが出来ないときに有効になり得る手段と言えます。

離婚に時効の定めはない

「証拠を撮ってから3年間は離婚できますよね?」お客様からよく聞かれる質問です。実はこれ、大きな間違いです。時効の定めがあるのは、不法行為に基づく損害賠償請求(不貞行為の慰謝料請求)であって、離婚には時効の定めはありません。ですから、不貞行為から3年間なら離婚できるとか、3年経過したから離婚できないということではなく、状況によると言うことです。

例えば、夫の不貞行為が、発覚したが、2人はすぐに仲直りをして、何ヶ月間も毎晩のように夫婦の営みをしていた。しかし、不貞行為から1年が経過したある日、妻が1年前の不貞行為を理由に、離婚したいと言い出した。

このケースでは、恐らく、1年前の不貞行為が原因で、離婚が認められることはないでしょう。

反対に、不貞行為が原因で夫婦が別居に至り、その後、夫婦関係を修復しようと努力はしたものの、夫婦関係は改善されず、むしろだんだん険悪になってしまい、ずるずると3年以上の月日が経過してしまったが、やはりうまくいかない。

この様なケースでは、離婚が認められる可能性は十分にあると思います。ちょっと極端な例ではありますが、この様に、離婚に時効の定めは無く、状況次第の部分が大きいのです。

離婚の際に決めておくべきこと

慰謝料について

夫婦の一方の不貞行為が原因で離婚に至ったときは、他方は、不貞行為により離婚に至ったことよって受けた精神的苦痛に対して慰謝料を請求することが出来ます
不貞行為が原因で離婚に至った場合の慰謝料の相場は、裁判上では200~300万円くらいが一般的な様です。
ただし、これは、裁判上では、不貞行為をした配偶者とその不倫相手を合わせての金額です。
詳しくは、「不貞行為の慰謝料は誰に請求できるのか?」をご覧ください。

財産分与について

財産分与(清算的財産分与)

婚姻中に夫婦が協力をして蓄えた財産(共有財産)を夫婦間で分けて清算をすることを、財産分与(清算的財産分与)といいます。法律(民法768条1項)でも、離婚の際には、財産の分与を請求することができると定められています。
結婚をしてから夫婦が協力をしてなしたものであれば、原則として、その名義にかかわらず財産分与の対象となります。
一般的に財産分与と言うと、この清算的財産分与を指します。
尚、財産分与は、離婚から2年間(民法768条2項)であれば請求する事ができます。

財産分与(清算的財産分与)の割合

財産を分配する割合は、夫婦間の話し合いで合意至れば、その割合で分けます。夫婦間で合意が得られなかった場合は、最終的には、裁判等で裁判所に判断を仰ぐことができます。
裁判所が決定する場合は、一般的な家庭であれば、夫婦間で均等に(2分の1ずつ)分配します。

不貞行為と財産分与

原則として、離婚原因を作った側でも財産分与を請求できます
つまり、夫婦の一方の不貞行為が原因で離婚に至ったとしても、他方に対して財産の分与を請求することができるのです。
これは、財産分与が、一方からもう一方に与えるという性質のものではなく、あくまで夫婦で築き上げてきた財産を離婚時に分配するという性質のものだからです。

財産分与の対象になるもの

財産分与の対象になる財産は、夫婦間の共有財産です。
預貯金、有価証券(株、生命保険)、マイホーム、自動車、ペットなどで、不動産、動産に限らず、婚姻中に取得したもの(夫婦で協力して得た財)は、原則、名義に関わらず財産分与の対象です。
ただし、婚姻中に取得したものであっても、明らかに一方の物であることが明白な物(衣服など)は、原則、財産分与の対象としません。
尚、オーバーローン(残存価値よりローン残高が多い)をしているマイホーム等については、家も借金も名義人が引き受ける様にするのが一般的です。

財産分与の対象にならないもの

婚姻前から持っていた物は、夫婦の共有ではなく、一方の特有財産となり、財産分与の対象にはなりません。
婚姻前に貯めた預貯金や有価証券、婚姻前に購入した不動産、動産類はすべて特有財産です。
ちなみに、夫婦の一方が婚姻前に貯めたお金で、婚姻後にマイホームを購入した場合は、特有財産となりますから、財産分与の対象ではありません。特有財産であるお金が、家というものに形を変えただけ、といったイメージです。
反対に、婚姻前に購入(契約)はしたが、婚姻してからローンを支払い続けている様なマイホームやマイカーなどは、財産分与の対象となり得ます
当然、お嫁入り道具なんかも婚姻前に買ったものであれば、財産分与の対象ではありません。
尚、相続によって得た財産についても、夫婦で協力して蓄えた財ではありませんから、財産分与の対象ではありません。

親権について

親権とは?

父母が未成年の子に対して有する、身分上・財産上の保護・監護・監督・教育などにかかる権利・義務の総称のことです。

離婚する際には親権者決めなければならない

夫婦が離婚する場合に未成年の子がいる場合は、離婚後の親権者を夫婦のどちらにするか決めなければなりません。
※共同親権が認められることになりましたが、施行されるのはもう少し先です。

現行法では、離婚後に夫婦の共同親権とすることはできず、必ず夫婦のいずれか一方が親権者となります
尚、離婚届には親権者を記載しなければならず、親権者の記載がない場合は受け付けてはもらえません。つまり、親権者を定めないと離婚ができないのです。
しかし、共同親権が認められた後も、離婚後も必ず共同親権になるわけではなく、共同親権も認められるようになったということです。単独親権にするか共同親権にするかは、夫婦間の協議で決めることになります。夫婦間の協議で合意できなかった場合は、家庭裁判所に判断を求めることになります
ちなみに、家庭裁判所が判断する場合、夫婦間で合意を得られなかったケースにおいては、共同で親権を行使するのは難しいのと判断され、単独親権に決定するであろうという説が有力だそうです。

子どもが複数いる場合の親権

複数の子がいる場合は、それぞれの子について親権者を決めなければなりません。実は、夫と妻に分けることもできるということです。
しかし、未成年の子どもが複数いる場合、特に子供全員の年齢が低い場合は一方の親が全員の親権者になるのが一般的です。親権を分けるのは、やむを得ない事情がある場合や子どもがある程度の年齢に達している場合なのです。

父母が別居中の場合

父母が別居している場合において、父母が共に親権を主張して争ったときは、よほど親権者として不適切でない限り子供と生活をともにしている親が有利になります。
もちろん、別居した翌日からという訳ではありませんが、家庭裁判所は、ある程度の期間、問題なく子供と生活を共にしていた親を親権者と決める傾向が非常に強い様です。

母親の妊娠中に離婚した場合

子どもが生まれる前に離婚した場合は、母親が親権者となります。

夫婦の双方が親権を主張したら

離婚に際して夫婦が共に親権が欲しい、またはいらないという主張をした場合に、夫婦間の協議で決まらなければ、家庭裁判所に調停を申し立てます
調停が不成立になったときは審判、または、裁判離婚で、裁判所が父母の一方を親権者と定めます。
※共同親権が認められることが決まりましたが、まだ法律は施行されていません。

親権者を決定する基準

裁判所が親権者を定める場合、どちらの親を親権者としたほうが子どもにとって、より利益があり、より幸福かという判断がなされる様です。一般的には母親が親権者になるケースが多いようですが、実際はどの様な判断がされているのでしょうか?

  • 別居中など父母の一方が子を監護養育している場合、子どもの現状を尊重し、子どもを監護教育している側を親権者とするケースが多いようです。
  • 幼い子場合には、母親が必要と考えられており、母親が優先的に親権者になるケースが多いようです。
  • 子供がある程度の年齢に達したら、子供の意向が尊重されるようになります。
  • 経済力については、養育費や実家からの支援などでも解決できますので、必ずしも重要な要素にはならない様です。

子どもの年齢と親権者

0歳~10歳

衣食住全般にわたって子供の世話をしなければならないので、母親が親権者になる例が圧倒的に多い。

10歳~15歳

子供の精神的、肉体的な発育状況によって、子どもの意思も尊重する。
10歳以上の子供には意思能力があるとされている。

15歳~17歳

子供が自分で判断できるので、子供の意思による。

18歳以上

成人しているので、親権者を決める必要はない。

不貞行為と親権の関係は?

「不貞行為をした夫(妻)になんて、子供は渡したくない」とおっしゃる方も多いのですが、親権者を決定するうえで、不貞行為はどの様に影響するのでしょうか?
不貞行為をしたら親権者になれなくなるという規定はありません。裁判所は、子供がどちらの親が親権者になったら子供がより幸福を得られるか等を基準決める様です。

監護権者って?

親権は「身上監護権」「重要事項決定権」「財産管理権」「法定代理権」に分けることができます。離婚の際にはここから「身上監護権」のみを分離して「親権者」と「監護権者」に分ける場合もあります。
「監護権者」は、未成年の子どもの日常生活の世話をしたり教育をしたりします。「親権者」は、未成年の子どもにかかる法的手続について代理をしたり財産を管理したりします。未成年者は単独では有効に法律行為(売買など)ができないので、法定代理人として同意・追認をするのも親権者の役目です。特に何も定めをしない場合は、親権者が監護権者となります。
親権者と監護権者を別々に決めた場合は、親権者にならなくても、監護権者になれば、子供を手元において自分の手で育て、教育をすることができるのです。

養育費について

養育費とは、子どもが健やかに成長するために必要な費用のことです。
子供を引き取らなかった側が義務者となり、子供を引き取った側である権利者対して、養育費を支払います。毎月支払うのが一般的です。母親が子供を引き取り、父親側から母親側に対して支払われることが多いですが、当然反対になることもありえます。
金額については、審判や裁判の場合は、原則、義務者、権利者の収入や子の人数、年齢により算定表を基準に決められます。
協議離婚(話し合い)の場合は、当事者間の合意によって決定しますが、最近では、話し合いにおいても、この算定表を参考にすることが多いです。

養育費の算定表はこちら

面会交流について

面会交流とは

面会交流とは、離婚などが理由で、子供と離れて暮らす親と子供が定期的に会って一緒に遊んだり、食事をしたりして交流をもつことをいいます。面会交流を行うことによって、両親が離婚に至っても、子供が両方の親から愛されていると実感ができ、健やかに成長するためには必要だと考えられています。
面会交流は、原則、子供が成人する(18歳)まで行います。

面会交流の決め方

面会交流については、一般的に、以下のような流れで決めます。

夫婦間の協議

面会交流の内容は、夫婦間の話し合いで自由に決めることができます。
夫婦間で合意して取り決めた内容は、後で「言った」「言わない」等の争いを避けるためにも、「離婚協議書」などの書面を交わします。

面会交流調停

夫婦間の協議で合意に至らなかった場合は、家庭裁判所に面会交流の調停を申し立てます。
面会交流調停では、裁判官、調停委員を交えて、面会交流の可否、方法、回数などについて具体的に決める話し合いを行い、合意を目指します。

面会交流審判

面会交流調停でも合意に至らなかった場合は、調停は不調となり、審判という手続きに移行します。
審判では、これまでの一切の事情を考慮して、裁判官が面会交流の実施の可否、内容などについて判断をします。

面会交流につい決めておくべきこと

面会交流を実施するにあたり揉めないように、具体的に約束事を決めておくべきです。
具体的には以下のような事項を決めておくといいでしょう。

  • 面会交流の頻度・回数・時間
  • 面会交流を行う場所
  • 宿泊について
  • 子供の受け渡し方法や連絡手段
  • 学校行事への参加について
  • 小遣いやプレゼント対する取り決め
  • 祖父母との面会について
  • 子供に対して互いに相手の悪口を言わないなど
  • 約束に違反した場合の取り決め

年金分割について

年金分割とは

年金分割は、離婚後に一方の配偶者の年金保険料の納付実績の一部を分割し、それを他方の配偶者が受け取ることができるという制度です。
誤解の無い様に書いておきますが、この制度は「厚生年金」「共済年金」の部分に限り「婚姻期間中の保険料納付実績」を分割することができる制度です。従って、「国民年金」や「厚生年金基金」「国民年金基金」等に相当する部分は分割の対象にはなりません。また「婚姻前」に納めた部分は対象になりません。
将来受け取る予定の年金を分ける制度ではなく、あくまで、納付実績を分割できる制度だと言う点に注意が必要です。
例えば、婚姻期間中の10年の間に夫が厚生年金を100万円納付、その間、妻は専業主婦で納付実績が0円だった場合に、これを、夫も妻も10年にわたり50万円ずつ納付したことにできる制度です。

年金分割はすべきなの?

年金分割制度を利用するメリットがあるのは、婚姻期間中に自分よりも相手のほうが厚生年金や共済年金を多く支払っていた場合です。
自分のほうがたくさん年金を支払っていた場合は、年金分割をしないほうが得ですが、恐らくは、年金分割を請求される立場になってしまうでしょう。
また、年金受給を受ける本人が、原則として、分割後に、保険料納付済期間、保険料免除期間および合算対象期間の合計が25年以上でないと年金の受給資格が発生しませんので、年金分割をしても年金は受け取れません。